JBA JOURNAL

2020 Winter

この記事は2020年2月発行の「JBA JOURNAL」に掲載されたものです。内容及びプロフィール等は掲載当時の情報となります。

“やり切ろうとする力”が
成果を引き寄せる。

大野順也氏Junya Ono 株式会社アクティブアンドカンパニー
代表取締役社長 兼 CEO

1974 年兵庫県出身。大学卒業後、株式会社パソナ(現パソナグループ)で営業、営業推進、営業企画部門を歴任、同社関連会社の立ち上げなども手がける。トーマツコンサルティング株式会社(現デロイト・トーマツコンサルティング株式会社)にて、組織・人事戦略コンサルティングに従事。2006 年、株式会社アクティブアンド カンパニーを設立。著書に『タレントマネジメント概論』(ダイヤモンド社)、編書に『HR Standard 2020 組織と人事をつくる人材マネジメントの起点』(ダイヤモンド社)がある。

圧倒的な当事者意識を持つ

―ご経歴を教えてください。

新卒でパソナに入社しました。最初の2年は人材派遣の営業でしたが、その後4年ほど企画の仕事に就き、当時の営業管理システムの原型づくりや子会社の立ち上げ、クライアントと協働しての採用フローの整備や新サービスの販売手法の開発など、さまざまな仕事に携わりました。
人にまつわる仕事を続けていく中で、「人はもっと科学できる」と思っていました。そうした思いもあり、自分のスキルや見識をもっと磨こうと縁あってトーマツコンサルティング(現デロイト・トーマツコンサルティング)に転職し、コンサルティングに携わるのですが、人を科学する考え方はあるものの、第三者的な立ち位置でのコンサルティングの仕事は物足りなく、「会社の業績に直結するような実効性の高いコンサルティングがしたい」「人を科学してもっと計画的に人づくりをしたい」と考えて、弊社を立ち上げました。

―こだわってきたことは?

弊社では、ほとんどの職種の方々に営業活動を経験してもらっています。お客様と向き合ってお金や契約の話をするのはビジネスのコアだと思っているからです。外資系コンサルティング会社のコンサルタントは営業をほとんどしません。契約の場にも居合わせないのに、大企業の社長に対して提言・提唱をするので、"自分はすごい人"と、勘違いしてしまう人も中にはいます。「お金や契約の話をしないと、営業活動をしないと、顧客からの期待もプロジェクトの重みもわからない」――これは創業以来、強く持ち続けている姿勢です。
当然、弊社でも機能分業はしていますが、当事者意識を持たせるために、営業経験を積むことには、こだわりを持っています。ポイントは、どのようにして「圧倒的な当事者意識」を持ってもらうかです。コンサルタントや外部パートナーは、クライアントのことをいくら本気で考えても、結局は第三者です。どれだけの当事者意識を持っても第三者は責任をとらない。相当な思いを持って当事者意識を持たなければならないという思いを込めて「圧倒的な当事者意識を持て」と常に社員たちには言っています。

社員一人ひとりを深く知りキャリアを真剣に考える

―経営戦略に資する人材育成のために企業に求められることは?

企業側が、個々人のキャリアを真剣に考えてあげることはとても大事だと思います。人をリソースとして見るのではなく、その人の仕事観とか職業観、生活観を考えてあげることです。会社とそこで働く人は平等で、互いに信頼関係を築かなければなりません。いわゆる「エンゲージメント」を高める努力を会社も怠ってはなりません。報酬のためにやるのではなく、この人たちのためだから、この会社のためだからやろうという気持ちをメンバー全員がもっている。人と人、人とチームが信頼関係でつながりあっている。そんな会社は組織として強いパワーを発揮します。
人の側から言えば、自分をさらけ出して考えをはっきり伝えられる人材が求められます。それは単なる主張ではなく本音で語り合えるかということです。そのためには、社員が本音でぶつかれるだけの信頼に足る上司や会社でなければならないし、上司や会社も本気で応えていかなければならない。そうした関係性が組織として必要だと思います。

―高いエンゲージメントを築くために大切なことは?

社員を深く知っていることだと思います。仕事に関わることはもちろん、メンタリティやライフスタイルなど社員の状況を把握することです。私はかつての日本企業はエンゲージメントが高かったと思っています。従業員の状況把握は高度成長期のほうができていたけれども、徐々に関わり合いが表面的になり、それではダメだということになって、データ化してわかろうとするなど、今ならではのわかり方をしているのだと思います。実際、仕事に関連のない、趣味などをデータとして持ち、人物に紐づけて検索したいというような、人事データ管理に関する要望も増えています。

"やり切ろうとする力"「グリット」前提となる対人関係能力

―今後、求められる人材像は?

まず前提となる仕事の定義や仕事そのものが、多様化しています。5年後の2025年には、団塊の世代がすべて後期高齢者に達し、すべての団塊ジュニア世代が50歳になります。世界一の速度で高齢化が進み人口が減っていく中で、5~10年後は仕事の在り方が激変しているでしょう。食べるために働く人もいれば、社会的に認められるために働く人もいる。食べるための収入は他にあって、趣味や余暇の一環として働く人も出てくるかもしれません。
環境変化が激しく不確実性の高い昨今、副業などの多様な働き方が一般化していくなかで、どのような環境にいたとしても明確にバリューを発揮できる人、つまり「環境に関係なく成果を出せる人材」が、今まで以上に、切実に求められてきていると実感しています。
成果を出すには、責任感、達成欲求、問題解決や実行力、行動力が必要です。また今まで測られてきたような知識や経験も必要でしょう。しかしここ数年、注目を集めている考え方に「グリット」という言葉があります。「グリット」とは、"やり切ろうとする力"のことを指します。これからは、このような能力や考え方がますます重要であると考えます。
また、資格や経験は自分の中に蓄積され、キャリアの源となるでしょう。しかし、仕事における価値は、自分と相手の間で発揮されます。つまり、有資格者であっても、スキルや経験が豊富であっても、独りよがりでは仕事での価値を発揮できているとは言えません。ですから対人関係を築く力は大前提となります。対人関係があってこそ、スキルや経験が役立つし、さらなる経験を通して身につけていくこともできるのです。スキルや知識は、経験を通して半年程度で追いつくことできますが、仕事に対する姿勢や価値観は、本人自身の考え方を変えなければ補うことはできません。

―読者へのメッセージを。

ビジネスモデルや戦略や戦い方で必要とされる人材は変わってきます。持っている専門領域を前提に仕事をするのではなく、世の中の変化を前提に経営に直結した各領域の専門家であってほしいと思います。戦略や環境変化に自分の専門性をどう使っていくか。いろいろな側面で自分のスキルを発揮することで、磨かれ、成長していく。そんな魅力的な人材が増えていってくれればと思います。

―本日はありがとうございました。

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