トピックス

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2020 Autumn

この記事は2020年11月発行の「JBA JOURNAL」に掲載されたものです。内容及びプロフィール等は掲載当時の情報となります。

ビジネス界のシェルパとして
顧客と共に
難題解決に挑む。

太田寛氏

太田寛氏Hiroshi Ota

株式会社シグマクシス
常務執行役員 PSシェルパ担当

日本航空入社後、公認会計士二次試験合格を経て、プライスウォーターハウスクーパース(以下PwC)に入社。流通、製薬、運輸、製造等の幅広い業界に対し、経理財務分野のコンサルティングを実施。2009年にシグマクシスに入社し、複数企業の業務プロセス改革からシステム刷新までの変革プロジェクトを牽引。現在は、プロジェクト管理とシステムのSaaS化で企業の変革推進を支援する「PS(PMO&SaaS)シェルパ」を担当。

独自のやり方を変えられないという大きな“足かせ”

―ご経歴を教えてください。

大学で情報工学を専攻し、新卒で日本航空に入社、情報システム部門に4年間在職しました。その間、ITの実務を担当しながら、会計の勉強を始めました。専門学校に通い始めたら面白くなり、会社を辞めて勉強に専念。1年半後、公認会計士二次試験に合格しPwCに入社。SAPの導入経験もたくさん積ませてもらいました。2002年、監査とコンサルティングの分離に伴い、PwCの統合先の日本IBMの社員になりました。日本法人のパートナーを務めさせてもらい、グローバルなエクセレントカンパニーの経営を肌身で感じたこともよい経験でした。
PwC時代の上司だったシグマクシスの創業メンバーから声をかけられて、2009年にシグマクシス入社。ITの経験を活かして、ITやデジタルで変革していこうとするお客様のプロジェクトの成功に向けて共に歩んでいくシェルパ(ヒマラヤ登山の案内人)としての活動に注力しています。

―日本企業のIT化の問題点は?

自前の仕組みからERPへ変革しようと動き始めた90年代後半から、日本のシステムにはさまざまな問題が生じてきました。標準的なビジネスプロセスをベストプラクティスに合わせるのが世界の趨勢で、日本企業でもそれを目指して数々のプロジェクトが立ち上がりました。しかし、ほとんどの会社で自分たちのやり方を変えることができず、独自機能を付加して作り込んでしまった。その結果、バージョンアップにお金と時間を要するものとなり、必要性は感じながらもバージョンアップは見送られ続け、システムは老朽化していった。経営陣がITを使って新しい取組みを行おうとしても1~2年の時間がかかるという“足かせ”が、2018年頃から指摘され始め、経産省は「2025年の崖」と称して警告を発しました。これが、今、日本企業が抱えているITの最大の課題です。

―課題解決のポイントは?

いま、テクノロジーはますます発展し、SaaS(Software as a Service)と呼ばれるソフトウェアサービスが出てきています。ソフトウェアの所有から利用への変化です。スマホアプリが自動的にアップデートするように、基幹システムも提供企業が機能を自動的にアップグレードしてくれる。SaaS が提供するビジネスプロセスに合せることで、企業の仕組みはシンプルになり常に最新のテクノロジーの恩恵を受けることができます。
従来のERPからSaaS に乗り換えようとするときポイントとなるのが、90年代後半から抱えてきた日本企業の課題、つまり既存のやり方からプラットフォームが提供するビジネスプロセスにいかに変えていくかです。
変化への恐怖心は人間の本能のようなもので、経営陣が変化の必要性を理解しても現場は抵抗します。「お客様の要望に応えられない」と営業部門が反対したら、IT部門では押し返せない。現場の抵抗を跳ねのけることができるのは経営陣だけです。経営トップが、「現場のことは現場に任せる」と言った途端、この問題は解決できなくなります。最大のポイントは経営トップが実現に向けて強いコミットメントをもって、継続的に現場に言い続けることです。「自分が責任を持つから気にせずにやれ」と。

拍車が掛かるデジタル化と自律型組織への移行

―コロナ禍での御社やお客様の対応は?

コロナ以前から我々はデジタルワークプレイス(どこでもオフィス)を実施していましたから、コロナ禍でもこれを最大限に活かしてビジネスを行っており、社内ミーティング等はほとんどウェブ会議になっています。お客様とのミーティングも、動いているプロジェクトに関しては基本的にすべてオンライン上で行えています。新規にお目にかかるお客様に関しては、緊急事態宣言中はいったん延期になりましたが、お客様がウェブ会議に慣れ始めると、初めてのミーティングもウェブで行うのが普通になってきました。
日本企業でもペーパーレス化が叫ばれて久しいですが、今まで目を覆っていた問題がコロナ禍で浮き彫りになり、そこに手を入れようというお客様は出てきています。もう一つの視点として、社員の安全確保があります。人の移動を抑制できる状況をつくっておくことが企業としての使命になっていく。そういう意味でもデジタル化に拍車がかかることは間違いありません。

―今後のデジタル化に対応できる組織像、人財像は?

DXが盛んに叫ばれる今日、技術の進化をいち早くビジネスに取り入れて新しいサービスを創造していかなければ競争優位を保つことは難しい。創造性を追求するには、自発性や自主性、そしてスピードが大事になります。さらに、新しいものを創造するには、試行錯誤(トライ&エラー)が必要で、エラーへの耐性を持った「自律型組織」が求められています。エラーを許さず、効率と確実性・安定性を追求した従来型の「規律型組織」では、新しいサービスや価値は生まれづらい。
人財像としては、デジタル化が進めば進むほど、デジタルな能力よりも人間的な能力が求められていくと思います。ビジネスを遂行していく上での総合的な能力や、自らをモチベートする力が極めて重要になるでしょう。
2019年、米国を代表する企業181社のCEOがオールステークホルダー重視の経営への変革を宣言しました。米国の労働人口の三分の一を占めるミレニアル世代は、利益追求を重視しすぎることに抵抗感を持っていて、企業の存在意義や社会的な課題解決をビジョンに掲げている会社で働きたいと考えています。社会の役に立つための能力を身につけるために会社に入ろうとしている人たちが多い。そういう人たちから選ばれるには、社会から共感を得るミッション、ビジョン、バリューのもと、個々人のやる気を引き出し、動きやすい組織を設計して、自社に盛り込んでいく。それが今の日本企業に求められていることでしょう。
そのための支援を我々は全力で行っていきたいと思っています。

―本日はありがとうございました。

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