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2016 Summer

この記事は2016年8月発行の「JBA JOURNAL」に掲載されたものです。内容及びプロフィール等は掲載当時の情報となります。

チャンスは自らつくり出すもの
待っているだけでは
やってこない。

曽根 剛氏

曽根 剛氏Tsuyoshi Sone

株式会社グッドラック・コーポレーション
取締役リゾートウェディング本部長

1974年埼玉県生まれ。武蔵大学卒業。大手医薬品卸売会社を経て、2008年株式会社グッドラック・コーポレーション入社。2009年経理部長、2010年グァム出向、管理本部長、2014年取締役管理本部長、2016年取締役リゾートウェディング本部長。

経理・財務を軸足に自分のキャリアを考えたとき……

―ご経歴を教えてください。

大学卒業後、一部上場の大手医薬品卸会社に入社しました。管理部門(経理部)配属になり、10年間、決算・税務申告業務に携わりました。同じチームで仕事を続けるうちに、さまざまある財務会計の仕事の中で、狭い範囲の業務だけを続けることに疑問を抱き始めました。30代半ば近くになって、経理の道でキャリアを伸ばしていくには財務会計の中でも別の仕事をしたいと思い始めたのです。しかし異動はほとんどなく、私の希望も受け入れられませんでした。それならば、違う会社でキャリアを積んでいきたい。そう考えたのが転職の切っ掛けでした。
自分でやりたいことは何かを考えたとき、会社で出世したいわけではありませんでした。10年以上実務を積んできた経理の経験値や力を伸ばしていきたいという思いが強かったのです。「経理・財務の全体的な仕事ができる会社で働きたい」と思い、規模や知名度は考えず、そんな仕事を任せてもらえる会社を探しました。

―そこで今の会社に出会われた。

そうですね。世界的に評価の高いビーチリゾート(ハワイ・グアム・バリ・沖縄)で会場を展開するリゾートウェディング業の雄、グッドラック・コーポレーションの最終面接時、社長がリゾートウェディングに対する思いを熱く語る中で、「あなたは何ができるか?」と問われた時、「経理全般、管理部門全般を任されるような仕事がしたい」と答えました。「ぜひ、力を発揮してくれ」という社長の言葉に、それまでの決められた業務範囲の中で決められた仕事をやっているという悶々とした気持ちが、晴れると思いました。
入社半年後、実際に経理の責任者になってみると、それまでの自分の経験がいかに狭い範囲の仕事であったかを実感すると同時に、やりがいを感じていました。入社時に抱いたイメージに近い会社であると感じました。

現場経験がキャリアに活きる

―ご苦労された点は?

正直に言えば、会社全体の会計や税務を把握するには入社後1年ほどは必要でした。とくに現地法人(グァム、バリ、ハワイ)は帳簿も整っておらず、管理も不十分で取引の把握は困難でした。そういう意味では、最初はかなり苦戦しました。ジャカルタに拠点を置いていた大手監査法人に相談して、現地の会計士5?6人を一月近くバリの現地法人に張りつかせて、帳簿をすべて洗ってリスクを洗い出し、バランスシートをきれいにするというアクションをとりました。私も、「これがきれいになるまで帰らない」と決めて、3週間ほどバリに張りつきました。

―印象に残る出来事は?

2010年のグァム出向です。「ウェディングの運営責任者として行ってきてくれ」と社長から指示を受け、全く未経験の業務に飛び込みました。ウェディング・ビジネスの経験は皆無ですから、困難の連続でした。しかし、実際に自分の眼で見て、現地を体感できたことは、その後の私のキャリアにもの凄く活きています。
半年後、管理本部長となって日本に帰ったとき、このコストがこんなに高いはずはないとか、これが計上されていないのはおかしいということが、明細を見なくても、現地から送られてくるPLを見るだけで2秒でわかる。国によって税制は異なりますが、基本的にバリもハワイもグァムもオペレーションは同じです。帳簿から見えてくる取引の妥当性が自分の感覚値として持てたことは貴重な財産です。現場を見なければ、なにもわからないことも学びました。だから、今でも新規案件の話が出ると、すぐに現地に飛びます。
「経理・財務は現場を知らなければならない」と言われますが、現場経験がいかに重要であるかを、身をもって経験させてもらいました。

――経理だけでなく、今では会社全体をみられているわけですね。

グァムでの経験が、今のリゾートウェディング本部長の業務にも繋がっています。実は、リゾートウェディング本部長への転身は自ら挙手したのです。
さらに会社だけでなく、リゾートウェディング業界全体を盛り上げるために何をすべきか。社長と共に日々考えているところです。「世界中を幸せに」という当社の企業理念を、我々はいつも心に置いています。結婚式の現場は、みんなが喜んでいます。一生に一度の素晴らしい経験を提供している素晴らしい会社だと、自分の会社を誇りに思っています。日本だけでなく世界中に当社のウェディングを通じて幸せを伝えていきたい。社長も私も、社員たちも同じ思いです。

飛び込む勇気と当事者意識

―キャリア観を教えてください。

「やってみなければわらない。回り道だと思っても、一回やってみよう」と、いつも考え、実践してきたと思います。常に当事者意識を持ちながら、とにかくやってみる。周りは笑っているかもしれないけれど、ダイビングキャッチしに行くような真似もします(笑)。
CFOになりたいからと、会計・財務の一本道を歩むことが、必ずしも正解だとは限りません。いろいろなことをやった結果、自分が目指しているところにたどり着く。グァム出向も目指したキャリアとは別の道でしたが、振り返ってみるとそれが大きなターニングポイントでした。おそらくグァム出向がなければ、私はずっとバックオフィスでデスクにかじりついてパソコンを叩いていたでしょう。それはそれでありかもしれませんが、私は今のほうがよかったと思っています。
一つ言えるとすれば、転職するときも、転職後も「チャンスを待っているだけではなかった」ということです。待っているだけでは自分のやりたいことを実現できないし、チャンスが簡単に転がっているわけでもありません。仕事や自分の人生をきちんと考える中では、自分からチャンスをつくりにいくことを考える。それが大事だと思います

―本日はありがとうございました。