トピックス

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2019 Autumn

この記事は 2019 年 11 月発行の「 JBA JOURNAL 」に掲載されたものです。内容及びプロフィール 等は掲載当時の情報となります。

お客様と共にあるべき姿を描き、
変革をスムーズに実行していく。

鈴木邦太郎氏

鈴木邦太郎氏Kunitaro Suzuki

株式会社ベイカレント・コンサルティング
ディレクター

慶応義塾大学総合政策学部卒業後、2001 年アクセンチュア株式会社入社。通信・メディア・ハイテク産業本部で、主にシステム系のプロジェクトに従事。2013 年、現職のベイカレント・コンサルティング入社。自動車メーカー、保険会社、人材会社を中心に支援。内容としては戦略系から業務改革系、IT 系と幅広く活躍。2016 年4月より同社ディレクター。

日本発のコンサルティングファームだからできること

―コンサルティング需要が高まっています。背景にあるものは?

理由の一つとして、企業自体に従来とは異なる変革の要請の高まりがあります。例えば、従来企業の競争は業界の垣根の中で行われることがほんどでした。しかし、デジタル化の進展に伴い、業界の垣根を壊して参入してくる、Disrupter(破壊者)があらわれています。GAFAと呼ばれる企業群がその代表で、例えばグーグルは自動運転の開発を手掛けています。明らかに従来の自動車業界内の競争の構図とはかけ離れたところから戦いが挑まれている。そうなると、ビジネスモデル自体を変えるような、これまでとは異なった戦い方が必要になります。そこに、変えることを専門にしているコンサルタントが求められる余地が出てきたのだと思います。

―日本発のコンサルティングファームとしての御社の特徴は?

外資が先行していたコンサルティング市場で、我々が日本発のコンサルティングファームとしてプレゼンスを高めているのは、アプローチの違いにあると思います。外資はまず「あるべき姿(To be)」を掲げ、会社の現状にかかわらず「いきつくべきゴールは同じ」というアプローチが多い。例えばシステムであれば、用意されている標準プロセスに会社の内部を併せていくというやり方です。当社の場合は、To be をお客様と一緒に描いていきます。そこが大きな違いであり特徴です。外資が席巻してきた市場において、日本企業を変えていくとき、これまでの文化や歴史、政治、組織の在り方を無視していくとハレーションが起こりやすかった。そこに当社が存在価値を高めてきている理由があると感じています。
日本企業はトップダウンの会社が少なく、社長がゴーを出しても、部長レベルで各領域に問題がないか確認するといった意思決定のプロセスが多い。現場の状況を踏まえた上で、”To be”を描く当社のアプローチは日本の意思決定のアプローチと合致します。そのため戦略がスムーズに実行に移せるのだと思います。

会社が変わる場面に立ち会える達成感

―このお仕事の魅力は?

会社を変えることが使命ですから、会社が変わる場面に立ち会えたときの達成感や満足感は大きいですね。
ある会社で経営理念を再定義して社風を醸成していくプロジェクトに携わったことがあります。変わる前は課長たちは仲が悪く、社員の意識も高くなかった。原因を考えた結果、「経営理念がおかしいのではないか」という仮説にたどり着きました。3カ月ほどで経営理念ができあがり、それを日々の行動に反映させていくために課長職の方々を集めてディスカッションを重ねました。するとあれほど喧嘩ばかりしていた人たちが、自主的に課長会をつくり「アイデアコンテストを開こう」と自発的に立ち上がってくれたのです。そのときは本当に感動しました。変わる前と、変わった後の成果が明確に見えた瞬間でした。
コンサルタントのキャリアを積み重ねていくにつれて、扱う課題が徐々に大きくなり、責任感とやりがいが増してきます。そういう意味でも続けるほどにやりがいが増す仕事だと思います。

―コンサルタントに求められるスキルとその磨き方は?

コンサルタントの仕事は論理的な部分、右脳・左脳で言えば左脳的な部分がフォーカスされますが、最近はむしろ右脳的な部分、人間としての感受性などをフル活用しながらお客様の悩みや課題を引き出していくことが大事になっています。そうした対人感受性を磨いていかなければならないと感じています。
それにはまず、相手の話を誠意をもって聞くことが大切です。ロジカルに整理するだけではなく、共感を示して同じ目線に立って一緒に考える。我々はお客様と一緒にTo be を描くわけですから、聞くところから始まるのです。
私が駆け出しのころは、グローバルのベストプラクティスを示せばお客様は満足してくださった。今は少しネットサーフィンすれば、事例や知識がいくらでも集まります。そうした時代に必要とされているのは、お客様が悩み直面している現場の課題解決です。よいデータや知見があったとき、いかにそれを自分の現場に当てはめていくか、自分の文脈に練りこんでいくか。そこで苦労されています。そこに対する解決策はしっかりとお客様の話を聞くところからでないと見いだせない。ロジカルに考える力は当然のこと、お客様の立場に立って考えられる共感力は必須スキルと言えるでしょう。

日本の会社を、社会をよりよく変えていくために

―コンサルとの付合い方のコツがあれば教えてください。

コンサルタントは向上心も強く、つねにお客様に貢献したいという気持ちを持っています。「これってあまり関係ないから聞くのはどうかな」と遠慮されるお客様もいらっしゃいますが、気楽にディスカッション相手としてご相談いただくといいと思います。私自身も一人で悩んでいるよりも、近くにいるコンサルタントと話をしながら考えを整理していくことはよくあります。そうした活用の仕方はお薦めです。

―キャリアアップを目指している方々にメッセージをお願いします。

コンサルティングは常に高いパフォーマンスを求められ、プレッシャーも多い仕事です。その代わり、もの凄く成長できる環境にもあります。向上心に溢れキャリアアップを目指す方々、コンサルの経験がなくともITの経験者でITコンサルタントとしてキャリアを築きたい方々などと、共に日本の会社を、社会を変えていければと思います。

―本日はありがとうございました。